恐怖1

「おい、まだかよ?」

俺は、女房の背中に向かって言った。どうして女という奴は支度に時間が掛かるのだろう。
「もうすぐ済むわ。そんなに急ぐことないでしょ。…ほら翔ちゃん、バタバタしないの!」
確かに女房の言うとおりだが、せっかちは俺の性分だから仕方がない。
今年もあとわずか。世間は慌しさに包まれていた。
俺は背広のポケットからタバコを取り出し、火をつけた。

「いきなりでお義父さんとお義母さんビックリしないかしら?」
「なあに、孫の顔を見た途端ニコニコ顔になるさ」
俺は傍らで横になっている息子を眺めて言った。
「お待たせ。いいわよ。…あら?」
「ん、どうした?」
「あなた、ここ、ここ」女房が俺の首元を指差すので、触ってみた。
「あっ、忘れてた」
「あなたったら、せっかちな上にそそっかしいんだから。こっち向いて」 「あなた…愛してるわ」女房は俺の首周りを整えながら、独り言のように言った。
「何だよ、いきなり」
「いいじゃない、夫婦なんだから」
女房は下を向いたままだったが、照れているようだ。
「そうか…、俺も愛してるよ」こんなにはっきり言ったのは何年ぶりだろう。
少し気恥ずかしかったが、気分は悪くない。俺は、女房の手を握った。
「じゃ、行くか」「ええ」




俺は、足下の台を蹴った。

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名無し
これはいつ見てもぞっとする
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名無し
首吊り自殺か。

殺人

兄が狂乱し、家族を皆殺しにした。
すぐに兄は逮捕され、死刑となった。
妹は幸運にも生き延びたが、
事件のショックで記憶を失ってしまった。
父も母も失い、記憶もない。
空っぽな心で無気力なまま生きていた妹は、
ある日占い師と出会い、
自分の過去を占ってもらうことにした。
「何故兄は発狂したのでしょう」
「いいえ、アナタの兄は冷静でした」
「何故家族を殺したりしたのでしょう」
「いいえ、兄は誰も殺していません」
そして妹は全てを理解した。

ホームレス

ニューヨークの地下鉄を私はよく利用する。
毎朝通勤の度に地下鉄構内で何やらぶつぶつ言ってる一人のホームレスの男がいた。
男の近くの壁に寄り掛かり内容を盗み聞きした。
目の前をおばさんが通る。すると男は
「豚」
と呟いた。
私は思った。なんだただの悪口か、動物に例えているだけか…。
次に普通のビジネスマンが通る。すると男は
「人」
あぁ、まさに普遍的人間って感じの人だな…。
別の日、暇潰しにまた盗み聞きしてみる。
男の目の前をやつれた男が通る。すると男は
「牛」
と呟いた。
牛?どちらかと言うと痩せた鳥だが…?次に典型的な肥満の男が通る、すると男は
「野菜」
と呟いた。
野菜?豚の間違いだろ?
私は家に帰り考えた。

もしや、次に生まれ変わる生き物、すなわち転生を言い当てるのか!?
その後、何度もホームレスを観察しているうちに疑問も確信に変わった。
ある日思い切ってホームレスに疑問をぶつけ、能力を身につける方法を教えてくれと懇願した。
ホームレスは淀んだ目で私を見つめた後、私の頭に手をかざした。
次の日からホームレスはいなくなった。仙人だったのだろうか?はたまた神か?
私は能力を身につけた。
それは期待するものとは違っていた。
ただ単に、その人が直前に食べたものだった
私はあまりのくだらなさに笑ってしまった。

浮気

俺には彼女がいるのだが、最近嫁に感づかれたらしく、家に帰るといつも『どこ行ってたの』『誰と一緒だったの』等うるさい。
逆に彼女は毎日メールで励ましてくれるし俺にとってはオアシスのような存在だ。
しかし今日はメールが返って来ない。
俺はフられたのかと沈んだ気持ちで家に帰ると、ペットのジョンがものすごく上機嫌で迎えてくれた。
嫁も機嫌が良く、口うるさくなくなった。
もう不倫はやめようと思い、彼女に最後の『さよなら』メールをした。どこかで彼女のメール着信音が聞こえたような気がした。

【逃げる女】

運送会社の配達員をしていた頃の話。
いつも通り昼間の配達にまわっていた。
それは繁華街の路地裏にある、古くてひと気もない雑居ビルに行った時のこと。
上階へ登らなければいけなかった為、エレベーターを使おうとした。
ボタンを押すと、すぐ扉は開いた。
と、突然女性が酷い顔をして「うわあああ」狂った様に叫びながら飛び出してきて、思わず後退りした。
その女性はそのまま繁華街へと走って消えた。
何だろう、ヤクザに酷い事でもされたか?ラリってるのか?
こんな湿っぽい雰囲気のビルだ、中で何がやってるかわからない…。
恐る恐るエレベーター内を覗いて確認するが何も無い。
階段から人が降りてくる気配も無い。
不気味だな、さっさと荷物置いて出よう。
そう思いながらエレベーターに乗った。
宛先は8階。
おかしい。
ボタンがひとつしかない。


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179:名無し
これは怖いな
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183:名無し
これなんなの?
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186:名無し
閉めるボタンしか無い=内側から開ける方法が無い
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189:名無し
怖すぎワロタ

【ストーカー女】

人暮らしをしている大学生の男がいた。
男が住んでいるのはごく普通のアパートだが、たまにおかしなことが起こった。
大学から帰ってくるとカーテンの形やゴミ箱の位置などが微妙に変わっている気がするのだ。
最近は誰かにつけられてる様な気もしてきた、流石に気味が悪くなってきた男は大学の友人に相談した。
男が「もしかして…ストーカーかな?警察に言うのが一番良いと思うけど…
警察は実際に被害が無いと動いてくれないって聞くしなぁ…どうしよ……。」
と困っていると、友人は「…じゃあ大学に行ってる間ビデオカメラで部屋を撮影しておいて、
もしストーカーが部屋に侵入してるのが撮れたらそのテープもって警察に行けば良いじゃん、
不法侵入してるわけだからさすがに警察も動いてくれるだろ。」
と具体的な解決策を提示してくれた、やはり持つべきは友!これは良い案だ!と思った男は
早速次の日の朝、部屋にビデオカメラを設置して録画状態のまま大学へ行った。

大学から帰ってきた男は焦った、久々に部屋に違和感がある。「これは期待出来る、マジにストーカー写ってるかも…」と思いながらビデオの録画を止め、再生した。
しばらくは何も写らなかった。
しかし夕方になると、知らない女が包丁を持って部屋に入ってきたのだ。
「…!!!!!!」ビビった男はすぐに友人に電話をかけた、
「ヤッベー!写ってる写ってるストーカー写ってる!!!!」と若干興奮気味に伝え、
それからは録画を見ながら友人に内容を実況した。
「ゴミ箱漁ってるよぉ…」「今度は服の匂い嗅いでる…キメェ!!」今までコイツは何回も来ていたのかと思うと
男は背筋が凍る思いだった。「これで警察も動いてくれるなぁ」と少しホッとしてると、画面の中の女は押入れに入った。
「うっわ…押し入れの中入ったよ、しかもなかなか出てこない……」などと友人と喋っていると、また誰かが部屋に入ってきた。
男は言葉を詰まらせた。
部屋に入って来たのは自分だった。
そしてビデオの中の自分はカメラに近付き録画を止める。
そこでビデオは終わった。

後ろの押し入れから音が聞こえたような気がした。

【真冬の夜】

3日前の夜中の話
飲みに行った帰り道、メチャメチヤ寒くてさ
家の近所の自販機で温かい茶を買ってたの
そしたら右にある交差点を子供が凄い勢いで駆け抜けた
『糞寒いのに』と思いながら茶飲んで歩くと
女の人が近寄ってきて
『息子見ませんでした?』と聞いてきた
眠いし、寒いし面倒臭いから見てない事にして
帰宅して寝たんだけど、
翌日驚いたね、俺が見た子供の母親が
自宅で刺されて重体なんだって
近所の煙草屋が言ってたわ
新聞には載らなかったから詳しく解らないけど
発見者が子供で警察まで走って行ったみたい

俺助けてあげられたのかも・・

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>>645
そのお母さんって……

【父親が入院】

いやー今日はマジ焦ったわ。昼過ぎにお袋から電話が来て、「父さんが倒れたらしい」って。
すぐに搬送された病院にバイクで向かったけど、その間ずっと親父のこと思い出してた。

今日の朝も、いつものように「いってきます」と笑顔で仕事へ向かった親父。
経理一筋25年の真面目なサラリーマン。風邪で熱を出しても会社を休まない親父。
毎日往復2時間も満員電車に揺られてるのに愚痴一つこぼさない親父。
頼むから無事でいてくれ!祈りながらバイクを飛ばした。

病院について拍子抜け。命に別状はなし、意識もある。ただの貧血だったらしい。
心底ほっとした。でも、心配してたって言うのは何か気恥ずかしくて
「マジで勘弁してくれよ~、家のローンだって10年以上残ってるんだからさ~」
なんて冗談交じりで悪態ついちまった。素直じゃねえなあ俺。
親父はバツが悪いのか「すまん‥」とだけいって後はずっとうつむいてたよ。
なんにせよ良かった。救急車呼んでくれたウチの近所の公園の管理人さんには感謝してる

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>>385
リストラ....

【壊れたヘッドホン】

さっき、2万4千円のヘッドホンが突然壊れた。
音楽を大音量で聴き過ぎたせいか、いきなりプチッと音が出なくなった。
俺はムカついて思わずわざとテレビを床に落とした。
ズドンとテレビが床に落ちた振動を感じて俺はふと我に返った。
何やってんだ俺は。このテレビは15万もしたじゃないか。
たまたま落とした場所には布団が敷いてあって、落ちた振動は多少あったが落ちた音は全くしなかった。
たぶん壊れていないだろうと思いながらテレビの電源を入れてみた。
映像は普通に映るのだが、音が全く出なくなっていた。
最悪だ。15万円のテレビまで壊れてしまった。
それにしても今日は外が不思議なくらいに静かだ・・・
気晴らしにちょっと散歩にでも行ってみようかなぁ。

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>>515
壊れたのは耳のほうか・・・

【停電】

風呂上がりに、テレビでも見ながら髪を乾かそうかと思って
ドライヤーを持って部屋へ行ってテレビをつける。
いきなり怖い女の人の顔どアップ。怖い話の特集かな。
などと思いつつドライヤーをオンにしたらいきなり電気がバツン!と切れて真っ暗になった。
あっちゃ、クーラー入れたままドライヤーは無理があったか。
と思いつつ、テレビの光を頼りにブレイカーの所に行ったら
やっぱりブレイカー落ちてやがった。
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>>540
おい、なんでテレビついてんだ

【赤い部屋】

古い女子寮に住む2人の女生徒。肝試しとして、首吊り自殺者が出た部屋に行ってみた。しかし部屋には鍵がかかっていて扉が開かない。そこで1人が鍵穴から部屋を覗いてみたが、中は血のように真っ赤で何も見えない。

「なんでこんなに赤いの?」

彼女の呟きを聞いたもう1人の女生徒がこう言った。

「先輩が言ってたんだけど、その首吊り自殺をした女の子って、死んだとき目が真っ赤に染まっていたんだって」

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