昔のユーモア

主に江戸~明治のネタ
下ネタは今も昔も変わらない

【小便】
雪の夜中、小便つまりて目ざめ、 起きて立ち出で、
雨戸開けにかかったところ、凍りついて、いかなこと明かず。
しかたなければ、敷居へかがんで 小便をたれかけ、
さて明けてみれば、氷とけて、がらりと明いたり。
「よし」と言いて出でたところ が、何も用なし。

【泣声】
門番の嬶(かかあ)が毎晩外へ聞へるほどに泣くゆへ、殿様よりいろいろ御内証にて、
一夜嬶をお借りなされ、取らせられ御覧あるに、少しも泣かざれば、ご不審にて、
門番を召寄せられ「おれがしては 少しも泣かぬが、其方は薬でも付けるか、大道具か上手か、どうして泣かせる」とのお尋ね。
「ハイ、泣きまするは、私でござりまする。」

【恋病】
恋は女(おなご)の癪の種、娘ざかりの物思ひ寝、 ただではないと見てとる乳母、しめやかに問ふは、

「お前の癪も私の推量、違ひはあるまい。誰さんじゃ。言ひなされ。隣の繁様か」

「イヽヤ」

「そんなら、向ふの文鳥様か」

「イヽヤ」

「して又誰じゃへ」

娘、まじめになり、

「誰でもよい」


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